大学一年生のとき、東南アジアにバックパッカーの旅に出たのですが、そこで目にした光景が私に新しい価値観をもたらしました。日本をはじめとする先進国で暮らしていると、物質的な豊かさが幸せの象徴のように語られるのが普通です。でも、現地で出会った人たちは貧しいにもかかわらず、笑顔が絶えない日常を送っていました。そして話を聞いてみると、「自分の国が好き。だって生まれ故郷だから」と真っ直ぐな目をして答えます。この違いはなんなのか。そこから、人生における幸せの意味、を真剣に考えるようになりました。
もちろん、簡単には答えが見出せないテーマです。ただ、そこにはひととひととのリアルな出会いやつながりを大切にしながら、力強く生きるひとたちの姿がありました。そうした体験を経て、ようやく人生における目標が見つかったのがアメリカ留学をした大学三年生のとき。そのころ、流行り始めていたTwitterというサービスに衝撃を受け、シリコンバレーの起業家たちと片っ端から会い彼らの考え方に触れたことで、自分がやりたかったことを実現できるのはインターネットだと確信したのです。当時は、スマートフォンが普及し始め、近い将来、誰しもが手のひらの上でコンピュータを操る時代が来ることが予想されていたころでした。そこで、モバイルインターネットの力で、これまで出会うはずのなかったひとたちをリアルにつなぐサービスができないか、共通の趣味・関心などのデータとスマートフォンの位置情報を掛け合わせて新たな出会いを創出できないか、と考えたのです。そこから”何気ない日常に非日常な出会いを”という企業理念、そしてWondershake社の創業のきっかけとなったサービスが生まれました。何度かサービスは形を変えましたが、当時から掲げていたコンセプトは変化していません。
株式会社Wondershakeは現在7期目を迎え、オトナ女子向けアプリメディア「LOCARI(ロカリ)」を中心に事業を展開しています。LOCARIとは、イタリア語で“小さな町”を意味する“Locarite(ロカリテ)”という言葉を、親しみやすくアレンジした造語です。イタリアのフィレンツェのような街でウィンドウショッピングをしているような、新たなコトやモノと出会う驚きや喜びを提供したいと考え、こう名付けました。
私たちの挑戦はまだまだ始まったばかりです。今後はLOCARIを国内女性向けメディアNo1にまで成長をさせつつ、LOCARIを利用する女性向けの新規事業の展開も加速させていきます。既に新規事業としてDIYのレシピアプリ「Creon」やサンプリングサービス「milcoco」などのサービスをリリースしています。これらはすべてLOCARIの利用者である女性のニーズをもとに着想し開発したサービスです。
2014年にLOCARIを立ち上げた当初からの構想ですが、私たちはメディアからコマースまで幅広く女性の消費領域におけるサービスを提供していくことで、スマートフォンを入り口とした女性向けの「生活圏」を創りたいと考えています。LOCARIを利用することで女性が新しいモノやコトと日常的に出会い、その購入や予約まで当社が提供するサービスで完結できるような世界観です。そしてその構想をグローバルでも展開していきたいと考えています。日本で培ったメディア開発経験を活用し、今後さらに経済成長が期待されるアジア市場での事業拡大に挑戦していきます。市場を国内だけに限定せず、グローバルで勝負をしていき、中期的に”アジアNo1のモバイルカンパニー”を目指したいと考えています。
テクノロジーの進化はいつの時代も社会をより豊かにしてきましたし、その進化スピードは今後もさらに加速していきます。2017年時点では世界的にスマートフォンによるモバイルインターネットが主流ですが、今後5〜10年で確実にその前提も変わります。私たちは絶えずその変化の最前線に立ち、人々の日常に新たな”ヒトモノコト”との出会いを創り出すこと、そして事業を通じて社会全体をより豊かにしていくことで、社名に込めた“驚きで世界を揺らす”という想いの実現に向けて挑戦をし続けていきます。